中途採用で生じるミスマッチにどう対処するか?
福祉・介護・保育・医療分野は中途採用者が多い業界です。
同業他社で一定の業界経験のある職員を雇用したものの、採用面接で聞いていた内容と実力が異なる場合や、同僚に対する言動も常識の範囲を超えている場合もあります。
このような場合、「解雇」はできるのでしょうか、、というご相談を受けます。
実際的には、試用期間を設け、試用期間中に労働能力を見極める方法を採用されている事業所様が多いかと思います。試用期間も短すぎては中途採用者の人となりが見えないまま経過してしまう可能性もあります。逆に、意味もなく長すぎると公序良俗違反とされた事案もあります。個人的には入社後、6ヶ月程度が妥当だと思います。
また、試用期間と比べて、試用期間終了後(本採用後)は解雇の有効性についての判断が厳格になります。(解約権留保付労働契約)試用期間中に起こる上記のような言動や態度を、本採用拒否(解雇)事由として就業規則に列挙し、事案が起こった場合は就業規則に基づき注意・指導・懲戒等適切に対応していくことになります。場合によっては、本採用拒否事由に該当したことにより本採用拒否の措置をとることもあります。
本採用拒否については、就業規則に明記した事由に該当したことに加え、合理的かつ相当な理由が必要となります。
中途採用者(特に相当の役職と給料で雇用した場合)を本採用拒否をする際、期待した労働能力と現実とのギャップを分析し、合理的かつ相当な理由があった旨を第三者に証明できるようにしなければなりません。
しかし、事業所が期待する労働能力は事業所ごとに異なり、労働能力と現実のギャップを第三者に証明していくのは非常に困難となります。
そこで、労働能力と現実のギャップについて日々記録に残し証明していくよりも、労働能力が欠如してしまう根本的な問題とされる中途採用者の言動や態度などを記録に残していき、第三者に証明していく方法をとります。
例えば、常に高圧的な態度をとっていること、同僚とのコミュニケーションを全くとらないこと、会社の方針、指示に従うよう促すも、その意思がないこと等、労働能力を発揮するための下地がどれだけ欠如していたのかを客観的に証明していくことになります。
最近、サービスの基幹的存在となる、生活相談員、保育士、児童発達支援管理責任者、サービス管理責任者の中途採用を希望される事業所様が増えています。
これを機に、中途採用者の採用後の就業規則の規定や労務管理方法をご確認いただけたらと思います。