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失業給付(基本手当)と特別支給の老齢厚生年金との調整

おはようございます。社会保険労務士の西田です。
年度末が近づいてきましたね。年度末で退職を迎える方が多いと思います。
特に、60歳代前半でご退職予定の方はこの記事をご覧になられ、よりよい選択をされてください。
最初に…
① 特別支給の老齢厚生年金の受給要件、以下3つの要件を全て満たす必要があります。
・男性はS36年4月1日まで、女性はS41年4月1日までに誕生日がある方
具体的には…
男性
S28年4月2日~S30年4月1日=61歳から支給開始
S30年4月2日~S32年4月1日=62歳から支給開始
S33年4月2日~S34年4月1日=63歳から支給開始
S34年4月2日~S36年4月1日=64歳から支給開始
S36年4月2日以降は65歳から
女性
S33年4月2日~S35年4月1日=61歳から支給開始
S35年4月2日~S37年4月1日=62歳から支給開始
S37年4月2日~S39年4月1日=63歳から支給開始
S39年4月2日~S41年4月1日=64歳から支給開始
S41年4月2日以降は65歳から
・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていること
・厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あること
次に…
② 失業給付(基本手当)の受給要件
・離職日以前2年間(特定受給資格者および特定理由離職者は1年間)に雇用保険被保険者期間が通算して12ヶ月(特定受給資格者および特定理由離職者は通算して6ヶ月)以上あること
 
①、②の両方に該当する場合、原則どちらか一方の制度のみ利用できます。
※障害年金や遺族年金を受給されている方は失業手当(基本手当)との調整はありません。したがいまして、両制度利用することができます。
 
住所地を管轄する公共職業安定所へ離職票、印鑑、顔写真等を持参し、求職の申し込みに出向きます。
求職の申し込みをした日から7日間は待機期間があります。更に自己都合で退職された方は3ヶ月の給付制限期間があります。※定年退職の場合は自己都合扱いで処理されますが、給付制限はつきません。
求職の申し込みをした日の属する月の翌月分から特別支給の老齢厚生年金は支給停止となります。つまり、7日の待機期間+3ヶ月の給付制限期間中(自己都合退職の場合)も年金が支給停止となります。※停止のため、差止めと異なり、失業給付(基本手当)を受けた日は全く年金は支給されないということになります。
具体的には事後精算の形をとっています。
・4月中に求職の申し込み、5月分から年金支給停止
・5月~9月まで
失業給付(基本手当)を受給(待機期間及び給付制限期間中+1日でも失業給付(基本手当)の支給対象となった日が属する月は支給停止)
・計5ヶ月支給停止月
・5月~9月までの間で、117日分を受給
・117日÷30日(1月分)=3.9ヶ月分
・3.9を小数点以下繰り上げ=4ヶ月
・5ヶ月(支給停止月)-4ヶ月=1ヶ月
・1ヶ月分が10月に支給される。
上記のような流れになります。つまり、上記例で特別支給の老齢厚生年金は4ヶ月間支給停止(貰えなかった)になります。
これまで加入されていた厚生年金保険の標準報酬月額が高額で、加入年数が多い方は特別支給の老齢厚生年金のほうを選び、失業給付(基本手当)を受給しないという方法もあります。
失業給付(基本手当)の一日の金額は離職日前6ヶ月分の賃金を180日で除した日額の45%~80%(※60歳~65歳まで)になります。
特別支給の老齢厚生年金か失業給付(基本手当)かいずれか高い方を選択されるとよいかと思います。
 
両方の受給権が発生した場合の手続きは平成25年10月1日以降に年金受給権が発生したり、求職の申し込み日があったりすると、届出は不要です。
ただし、年金請求時に年金事務所へ雇用保険被保険者番号を提出しなかった場合などは、支給停止該当届に雇用保険被保険者番号を添付し、管轄の年金事務所に提出しなければなりません。
 
また、65歳以後の離職の場合は基本手当は一時金に変わります。
どれだけ長く雇用保険に加入してきたとしても、50日(1年以上の被保険者)、30日(1年未満の被保険者)となります。
※65歳到達後、年金との調整はなく、いずれも受給することができます。
65歳とは65歳の誕生日の前日をいいます。従いまして、離職日が、65歳の誕生日の前々日までであれば、一時金ではなく、基本手当を受給することができます。
正社員、嘱託社員等で会社の就業規則や雇用契約書で65歳に達した時の定義が異なると思います。もし、上記条件に拘るあまり、定年や契約期間満了日より前に退職してしまった場合は、自己都合の退職となり、前述した給付制限(3ヶ月)がかかります。
また、仮に64歳と10ヶ月目で離職した場合、ざっくりですが2ヶ月分の給与がもらえなくなってしまいます。
会社によっては65歳まで勤務したら、功労退職金制度を設けているところあるかもしれません。
いずれにしても、制度に合わせるために離職日を合わせるよりは、現在の契約内容を十分に確認された上で、慎重に判断されたほうがよろしいかと思います。
 
もうすぐ新年度、新生活に向けて、経済面も賢く考えていきましょうね。
ここまでご覧いただきありがとうございました。(*^_^*)

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